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(て、照れる……)

ちょっと頭が冷静になってくると、これまで散々喧嘩していた反動なのか、2度目の夜を経たばかりの私はシーツにくるまり急に無口になってしまうのであった。

まだまだこそばゆくってまともに渉の顔を見ることができず、あいつに背を向けてひたすら時が過ぎるのを待っていると、隣で寝転がっていた渉が起き上がる気配がした。

「俺が戻ってくるまで大人しく待っていられるか?」

そう言われて、にわかに心臓が波打つ。

九州行きに関して渉が私に具体的に何か発言したのは初めてのことで……。

(嬉しい、嬉しいけど……)

「無理よ……。私、遠距離恋愛なんてしたことないもの……」

嬉しいのに頑張ると言えないことがひどく情けなくて、思わずシーツで顔を隠す。

「すぐ戻ってくる。2年の辛抱だ」

「2年……?」

具体的な年数を聞かされ私はシーツから顔を出して、素早く起き上がった。

「新しい支店を作るってんで人手不足を補うために一時的に行くだけだ。軌道に乗れば、直ぐに戻ってくる」

「そうなの!?」

てっきりずっと九州に行ったっきりになるものだとばかり……。