「慰めてやろうか?」

佐伯はそう言ってデコピンされて赤くなった私の額にチュッと口づけた。更に口づけは涙を拭うように目尻、頬、輪郭へと滑り落ちてくる。

「佐伯は……女の人を慰めるのが趣味なの……?」

佐伯が何を言っているのか意味が分からなくて困惑した私は、見当違いの答えを弾き出してしまったのである。

「お前なあ……。もう少し言い方を考えろよ……」

佐伯は呆れたようにガックリと肩を落とした。

「ここまでしといて気づかないほど初心ってわけでもないだろ?」

いい加減わかれよと開き直ると、佐伯は強引に己の腕の中に私を押し込んだのだった。

あの夜とまったく同じシチュエーション。

……違うのは佐伯に惹かれている私の心ひとつだけ。

「慰めて……くれる……?」

キスをねだるように顔を上げると、望んだものは直ぐに与えられた。

幻のようなあの夜をもう一度……ううん、何度でも思い出させて。