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「もお!!佐伯!!真面目にやってるの?」

食後の眠気に逆らえず意識が遠のく寸前、ぷりぷりと肩を怒らせながら渡辺が俺の頭を小突いだ。

「はいはい。ちゃんとやってますよー」

俺はあくびをかみ殺すと、眠気覚まし代わりに買っておいたブラックコーヒーを飲んだ。

昨日、友人に借りていた洋物のドラマシリーズDVDにうっかり手を出したのがいけなかった。

息もつかせぬ超展開とアクションに夢中になり、気が付けば窓から朝日が顔を覗かせていたのである。

(やべーな……眠い……)

もう社会人なのだからと多少の自制心を持ったつもりではあったが、まだまだのようだ。

これまた眠気覚ましのミントガムを口に放り込んで、レポートを書くべくパソコンに向かう。

「椿~!!ねえ、これってこの位置で大丈夫かな?」

パソコンのに苦手な佐藤からヘルプがくると、渡辺がすかさず飛んでいく。

「大丈夫よ、亜由!!ばっちり」

キャッキャとはしゃぐ二人の姿は恒例になった光景だ。