「あのなあ……お前と一緒にするなよ!!こっちにもタイミングってもんがあるんだよ……」

「タイミングばっかり見計らって、折角のチャンスを見逃してたら世話ないな」

俺はようやく目当てのゲームソフトをダンボールから発見すると、ふうっと息を吹いてパッケージに溜まった埃を払った。

ぐぬぬと悔しがっている渉を尻目に、そそくさと帰り支度を始める。

そして、餞別代わりにしょぼくれる背中に本当に蹴りを入れてやった。

「頑張れよ、渉」

「~~っ!!」

ちょっと発破をかけるだけのつもりだったが威力が強すぎたようで、渉は蹴られた背中を擦りながら悶絶していた。

「っ鈴木に言われるまでもねーよ!!」

渉はヤケクソとばかりに言い返すと、すっかり元の調子に戻っていたのだった。