……ずっと、一緒なんだと思っていた。

バカなこと言い合って、たまーに喧嘩して、それでも時々食事に行って……。

そういう当たり前の毎日がずーっと続くんだってどこかで思っていたのに、こんなにあっけなく終わりがやってくるなんて。

(やだ……もう。湿っぽくなっちゃったな……)

「椿~。佐伯くんならもう戻ったよ~?」

亜由が書棚の向こう側から呼びかけてきたのを合図に、未処理の書類が山積みになっているデスクに戻る。

「ありがと、亜由」

個人的な事情を仕事に持ち込んでいるのに、何も言わずにいてくれる亜由には頭が下がる思いがした。

ため息をつきながらディスプレイに向かうと、たまった仕事を片付けるべくキーボードを操る。佐伯が来るたびに隠れていては、仕事がちっとも捗らない。

「ねえ、いつまで居留守を使う気つもりなの?佐伯くん、もうすぐいなくなっちゃうんでしょう?」

亜由は心配そうにしているのが分かるから、余計にムキになってしまう。

「私にも分かんないわよ……」

……もしかしたら佐伯がいなくなるまで続くのかもしれない。

この胸のもやもやを気のせいだと割り切る方法なんて、誰も教えてくれないのだから。