「や、あのっ!!ここのところ合コンも不発で、色々自信失くなっちゃって……」
鈴木くんと付き合い出してから亜由は少し変わった。
愛されオーラっていうのかな?
自信がついてきたのか、前より色んなことに積極的に取り組むようになった。
それに比べて私ときたら、本当にひどい有様なのである。
合コンが不発に終わる理由は既にわかっている。
……自分にその気がないからだ。
連絡先を交換してもさほど嬉しいとも思えなくなってきて、最近は出された食事を平らげる機械になり果てている。そんな女に構うほど男性側も暇ではない。
その合コンよりも、さらにひどいのが佐伯だ。
意味深なことを言う割には、全然一歩を踏み込んでこないし、肝心なところで一線を引いている。
まるで許せるラインを飛び越さないように、探り合って遊んでいるだけのようにも思えて……。
「渡辺さん」
思案に暮れていた私の意識を呼び戻すように、鈴木くんが声をかけてくる。
「渉はバカだけど愚かじゃない。大事にしているからこそ、ますます手が出せないってこともあるよ」
その理論で言うなら、私一番大事にされてないんだけど……。
慰めるという名目で一夜を共にしていることを、鈴木くんは知らない。