(やっぱり、亜由に手伝ってもらえばよかった……!!)

カタログのたっぷり詰まったダンボールはずしりと重く、容赦なく私の体力を奪いにかかる。

カタログ一箱だけならそう大したことないだろうと、手伝いを申し出てくれた亜由を断るようにして1階の受付までやってきたのだけど、運び始めて数秒で後悔し始めた。

こんなことなら横着しないで、台車でも持ってくれば良かったと、思っても後の祭りである。

アホみたいに重いダンボールを抱えながら廊下を歩いていると、足元が見えなくて油断したのか段差につまづいてしまった。

(あっ!!)

と、思った時には身体は前方に傾いでいた。しかし、予想していたような大惨事には至らなかった。

「っあっぶねえな……。フラフラしてんなよ?」

……佐伯がタイミングよく現れて、傾いだ私の身体を支えてくれたからだ。

「あ、ありがと……」

とんだドジっぷりを見られてしまったという羞恥心を隠しつつお礼を言う。

営業から戻ってきたばかりなのか、佐伯はビジネスバッグとジャケットを右腕に抱えていた。

……一体、いつから見られていたのだろうか。