(コントローラーを握ると人が変わるタイプかよ!?)

まさかの展開にクソっと掌で顔を覆い天を仰いだせいで、Yシャツをうっかり焦がしてしまうところだった。

(それもこれも全部、鈴木のせいだ!!)

腹立ち紛れに鈴木を睨むと、特訓の成果も振るわず負けてしまった姉さんもガキどもと同じようにむうっと唇を尖らせ、キッと険しい目をしていた。

「もう一回!!」

「ハイハイ……」

鈴木は慣れた様子で再戦の申し込みに受けて立ったのだった。

しかし、圧倒的実力差の前にして結果はそうそう変わらない。

何度も負けその度、本気で悔しがる姉さんと鈴木の熱戦には、いつしかギャラリーが出来始めていた。

「お姉ちゃん、頑張って!!」

「そこだ!!行け~!!」

ひろむと恵の声援を背に闘う姉さんは、不屈の闘志を持つファイターそのもの。

(まあいっか……)

姉さんの楽しそうな声が聞けたので良しとしようと、俺は無理やり自分を納得させ、肩を落としたままアイロンがけを再開させたのだった。