(クックック……。さあ、目にもの見せてくれる……!!)

俺が姉さんに教え込んだのは、“落ちものゲー”と呼ばれるゲームの中でも定番中の定番と言われるソフトである“ぷにぷに”だ。

画面上部から落ちてくる“ぷにぷに”を並べ替え、同色の“ぷにぷに”を4つくっつけ消去するゲームである。

これなら、格闘ゲームなどにある複雑なコマンドを覚えなくてもいいし、初心者の姉さんでも簡単にルールを覚えられる。

姉さんがゲームを買いに行ったあの日以来、ありとあらゆる空き時間を使って特訓を重ねてきたのだ。

そのおかげで今や姉さんには、CPUはおろか俺ですら敵わない。

満を持して鈴木に挑む姉さんに死角はなかった。

鈴木はゲームソフトをゲーム機本体にセットすると、さくっと対戦メニューを開いてキャラクターを選択する。

「準備はいい?」

「うん!!」

コントローラーを握った姉さんが、元気よく答えた。

“ゲームスタート!!”という、キャラクターの合成音声とともに……闘いの火蓋は今、切って落とされた。