「ねえ、鈴木くん。よかったら私とも遊んでくれない?」

夕食後、姉さんは俺が貸したゲームソフトを携え、ガキどもと一緒にゲームに興じていた鈴木におずおずと申し出た。

(ついにきたっ!!)

姉さんに代わってアイロンがけに精を出していた俺は、手元はそのままに姉さんと鈴木の会話にこっそりと意識を向けた。

「佐藤さんが、ゲームをやるなんて珍しいね?」

「うん!!最近、始めたの!!」

テヘヘと照れ笑いをする姉さんを見て、鈴木はデレデレとしまりのない笑みを浮かべていた。

その笑顔が見られるもこれが最後かと思うと、不思議と名残惜しい気持ちになる。

どう見ても素人の姉さんに負けたとあれば、いつもは涼しい顔の鈴木も悔しさのあまり発狂するかもしれない。