「なな、何で!?」

理由を問いただそうとすると、姉さんむむっと口をへの字に曲げ訴えたのだ。

「だって皆楽しそうに遊んでるんだもん……。私だってたまには混ざって遊びたいじゃない?」

「……姉さん拗ねてるの?」

まあ、最近のゲームは大人数での協力プレイなんてのもあるしな……。

家では姉さんとひろむ以外の兄弟+鈴木っていうパターンで遊んでいることも多い。

要するに姉さんは話について行けなくて寂しかったのである。

素直にそう言えばいいのに、こっそりゲームを買おうとするなんて健気なことだ。

「ゲームなら俺の持っているやつを貸すよ」

「いいの?」

「いいよ。ついでに色々教えてあげる」

……ちょっと面白そうなこと思いついたし?

「ありがと、櫂!!」

喜びで顔をほころばせる姉さんを見て心が痛まないわけでもないが、あいつをギャフンと言わせたい誘惑の方が勝る。

「ねえ、姉さん」

見てろよ、鈴木。

「どうせやるなら鈴木のやつをあっと驚かせてみない?」

ゲームでは負け知らずのお前を倒すのは、俺が送りこんだ最強の刺客だ。

首を洗って待っていやがれっ!!

「櫂?」

ふふふと不敵な笑みを浮かべた俺の横顔を、夕暮れの淡い光が静かに照らしていたのだった。