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「くれぐれも!!内緒にしてね?」

「わかってるよ」

そう言って、口止め料代わりに買ってもらった本日2個目のコロッケにパクつく。

成長期の中学生にとってこれぐらいの量はなんてことない。

あっという間に平らげると口元についた油を指で拭いながら、一緒に家路に着いている姉さんに話しかける。

「別に秘密にすることないんじゃないの?ゲームを買おうとしたくらいでさ」

「いつも口うるさく“ゲームはほどほどに”って言っているのに、私が買ってきちゃったら……その……説得力がないでしょう?」

姉さんはもじもじと手を遊ばせながら恥ずかしそうに俯いた。

どうやら俺は、買い物のついでにおもちゃ屋に寄ったのはよいものの、あまりの種類の豊富さに途方に暮れていたところにばったり遭遇したらしい。

最近は鈴木が持ってくることが多いが、我が家ではゲームの購入は基本的に俺か兄さんの担当である。

「相談してくれたら手伝ったのに。買おうとしたゲームって先週チビどもが欲しい欲しいて騒いでいたやつだろ?」

発売されたばかりのポイモンの新作CMを見た途端に、チビどもがそわそわと落ち着かない様子になり、最終的に買って買っての大合唱になったのは記憶に新しい。

ちなみに鈴木はちゃっかり発売日に手に入れたようだ。まったく。頭のレベルは小学生とてんで一緒である。