町内会長の奥さんは私を見ると憐れむように、また嘲るように、ほうっとため息をついた。

「得体の知れないどこぞの男性よりも私がご紹介して差し上げた男性の方が真面目で誠実でよっぽど良かったでしょうに……」

勝ち誇ったような高飛車な物言いはばちが当たってざまあみろとでも思っている現れだった。

どうやらこの人の中で、鈴木くんは定職についていない、毎日遊びほうけている碌でもない男性ということになっているらしい。

まあ、そう思っても無理はない。

鈴木くんの普段の服装は、いつも見ている私ですら直して欲しいと思うことがある。

(一体、いつまで続くのかしら……)

町内会長の奥さんはたまりにたまった鬱憤を晴らすようにクドクドとお小言を続けてくる。

対する私は、「はあ」「そうですね」「すいません」という単語を駆使して早めにこの場を切り上げにかかる。

背負っているひろむの具合が芳しくないこともあるが、容赦なく投げつけられる悪意の塊は結構心にくるものがある。