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「ひろむ!!」

会社から幼稚園に直行すると、ひろむがぐったりとした様子で先生に抱っこされていた。

「今朝お預かりした時は元気だったんですけどね。10時過ぎぐらいから急に具合が悪くなって……」

「ひろむ、お姉ちゃんに掴まって?さあ、お家に帰って休もうね」

幼稚園バッグを肩に引っ掛け、先生からひろむを受け取る。ひろむの身体は燃えるように熱かった。

「おねえ……ちゃ……」

「大丈夫、直ぐに良くなるからね」

普段は元気なだけに病気になると途端に心細く感じるのだろう。ひろむはぐずぐずと泣き出し始め私の胸に顔を埋めた。

「今日は連れて帰ります。ご連絡ありがとうございました」

「お大事に」

先生に何度も頭を下げ幼稚園の門から道路に出ると、途端にお腹がぐーっと元気に鳴った。

(お昼、食べ損ねちゃったなあ……)

幼稚園から連絡が来たのがランチタイムの直前だったということもあって、お昼も食べずに電車に飛び乗ったのだ。

「ひろむはお腹空いてない?」

ひろむは力なく左右に首を振った。

「そっかあ……。じゃあ、お腹が空いたらいつでも食べられるようにお姉ちゃん特製の雑炊を作っておくからね。それともうどんにする?」

卵を落とした熱々の雑炊と柔らかく煮たうどんは我が家の定番の病人食だ。