(佐藤さんはどう思ったのかな……)
ごめんなさいと謝罪を残して資料室を去っていった佐藤さんの真意が知りたかった。早苗ちゃんを通じて彼女の様子を窺ったわけだが情報量があまりにも少ない。
”別に”の詳細を聞きたくてもじもじしていると、見るに見かねた早苗ちゃんが口火を切った。
「なによ?ガキンチョどもにゲームを買い与えるでは飽き足らず、また性懲りもなく姉さんの機嫌を損ねたわけ?」
「その通りです……」
そうです。そうです。今回も120%俺のせいです。
早苗ちゃんは単語帳から俺の顔に視線を向けると、思い切り毒をこめて言った。
「……このヘタレ」
「面目ない」
女子高生にヘタレ呼ばわりされて返す言葉のないダメな大人だよ、俺は。 口惜しさのあまりくうっとハンカチでも噛みしめたいくらいである。
「店員さん、すいませーん!!いちごパフェ追加で!!」
己のあほさ加減に嫌気がさして落ち込んでいる俺を放置して、早苗ちゃんがファミレスのメニュー片手に追加オーダーを頼む。
「相談料は高くつくわよ?」
ふふんと鼻で笑う早苗ちゃんを見て、カモられることを覚悟した俺はとっさに財布の中身を確認したのだった。