「はあ……」

「いい加減目の前でため息つくのやめてくれる?」

早苗ちゃんはいつまでもため息ばかりついている俺にすっかり呆れかえっていた。

「すいません……」

「もういいから、ここの解法見ておいて」

早苗ちゃんはノートを差し出すと、ドリンクバーにジュースを取りに行ってしまった。

いつもは佐藤家のリビングで勉強を見ているのだか、俺が出禁になってしまったので、今回は近所のファミレスに場所を移したのだった。

これ以上呆れられてしまってはまずいと、俺はコーヒーを飲みながら早苗ちゃんの解いた問題を添削し始めた。

努力家の彼女の答案は参考書通りの手順をきちんと踏んでおり、テストだったら満点をもらえるだろう。

(出来の良い生徒で助かるなあ……)

感心しながら解答の横に赤字で花丸をつけていると、早苗ちゃんはオレンジジュースをグラス一杯に注いで戻ってきた。