「っつーかいつまで家に来ないつもり?」

容赦のない連続攻撃に敵はあっという間に、けちょんけちょんにのされてしまった。

さすが、佐藤家最強の四天王である。

「いつまでって……佐藤さんのお許しが出るまでだけど……」

「ふーん」

そのお許しがいつ出るかどうかは、神のみぞ知るといったところか。

(早く、機嫌直してくれないかな……)

デリバリーでも腹は膨れるけれど、ひとりで取る食事ほど寂しいものはない。

おかずを横取りされる心配もないし苦手な野菜を押し付けられることもないが、次回のセカイジャーのあらすじを語り合うことも、共通の話題で笑い合うことも出来ない。

俺は生活の中心が佐藤家になっていることを改めて実感したのだった。

「そうだ、早苗ちゃんに貸してって言われてた本も一緒に持って行ってくれるかな?今、取ってくるから……」

「“ごめんね、鈴木くん。私、実は他に好きな人が出来たの……”」

寝室の扉を開けようとしていた俺は、思わずギクンと肩を揺らした。

恐る恐る振り返るとテレビに向かっていたはずの櫂くんが、してやったりとニヤリと唇の端を上げて笑っていた。