どこにも寄ることなく真っ直ぐ会社から帰って、着古してウエストのゴムがダボダボになったスエットと首元がよれたTシャツに着替え、テレビの前に座ってゲームをすること約2時間。

コントローラー片手に今か今かとそわそわしながら待っていると、やがてインターホンがピンポーンと鳴った。

「はーい!!」

相手に聞こえるわけでもないのに大きな声で返事をして、やりかけのゲームを放り出して急いでオートロックを開錠する。

僅かな間を惜しんで玄関の前で待ち構えていると、5分ほどしてエレベーターに乗って目的の人物がやって来た。

「毎日ありがとう、櫂くん」

櫂くんは片手をポケットに突っこんだまま俺をギロリと睨んだ。

「……ほらよ」

そう言って差し出された風呂敷包みを受け取ると、櫂くんはさも不服そうに大きなため息をついた。