(私が鈴木くんと公の場でキスをしていたのは事実なんだもんな……)
否定しようと思っても否定できないのが更に頭を悩ませる原因になっている。
……子供達に知られる前になんとかしなければ。
私のせいでからかわれたり、イジメられたりしたらそれこそ耐えられない。
(でも、どうやったら良いのかしら……)
テーブルに肘をついてはあっと悩ましげなため息をついたのを、鈴木くんは見逃さなかった。
「どうしたの?ため息なんかついて……。何か困ったことでもあった?」
鈴木くんは私達の夜更けの蜜事がご近所中に知られていることに、まだ気づいていないようだ。幸いなことに男性が誰だったのかは深く追及されていない。
しかし、それも時間の問題である。
……鈴木くんにだって迷惑はかけられない。
「そうなの……。困っているのよ。話を聞いてくれる?」
「どうしたの!?」
鈴木くんは慌てて箸を置くと、テーブルから身を乗り出した。よほど焦っていたのか、ご飯つぶが唇の端についたままになっている。
「……この間、子供部屋を掃除していたら、買った覚えのないゲームソフトが箪笥の奥から出てきたの」
「……へ?」
私は呆けている鈴木くんを無視して話を続けた。



