「鈴木~、“碧玉”が全然出てこないんだけどさー」

陽はソファに寝転がりながら携帯ゲーム機の画面を眺めていた。

指を器用にピコピコ動かしているのを見ると、宿題も同じ要領で出来ないのかとお説教したくなってくる。

「“雲海の盾”を装備しないと“碧玉”のドロップ率低いよ?」

鈴木くんは膝の上に乗っかってテレビゲームに興じているひろむにあれこれ指示をしながら答えた。

「えー!?“雲海の盾”ってイベント限定のレアアイテムだろ?持ってるわけないじゃん」

「俺は持ってるけどね」

「うげー。これだから大人は嫌だぜー。金に物言わせて恥ずかしくねーの?」

「そんなに“碧玉”が欲しいなら盗掘スキル上げて“ヤミー平原”を片っ端から掘ってみたら?」

「そんなん時間かかるじゃん!!俺は今すぐ“碧玉”が欲しーの!!」

陽は駄々をこねるようにソファを上で手足をばたつかせた。

ボフンと何度も上下するソファのスプリングに眉を顰めたのは、携帯ゲームを真剣な表情で見入っていた静弥くんだった。