すっかり安心しきってソファに身体を預け、再びガチャガチャの入った紙袋を覗き込んでいると、ギシリとスプリングが軋んだ。

「鈴木くん?」

隣に座った鈴木くんは口元を手で覆っていて、なんだか照れているみたい。

「貯金とか……もっとしといた方が良い?」

「へ?」

「だってさ……。独身時代ぐらいじゃん?貯金できるのも。結婚したら俺の安月給で皆の面倒もみないといけないし……」

「それって……」

……どういう意味なのかと聞こうとしたその時だった。

「あー!!セカイブルーだ!!」

「セカイレッドもいる!!」

お風呂から上がった双子とひろむが我先にとガチャガチャの玉に群がってきた。

「こら!!順番だよ!!」

ひとり占めしようとする陽を止めるように鈴木くんがすかさず紙袋を取り上げる。

結局その夜、話の続きは聞けずじまいになった。