レンの笑顔が消える。


「ヒナ先輩が俺のこと解ってくれるだけで十分だよ。」


そしてまた笑う。


「…本当に馬鹿…」


レンを転ばせた2年生の1人が大会に出ることになったっていうのに…
信じられない。

無理してるのなんてバレバレなのに。


「ヒナ先輩?」


「何よ。」


「キスして?」


「はあ!?」


いきなり何…!?


「俺、松葉杖ついてるから自分からできない。」


そりゃそうだろうよ!!

ってかあたしからしろって!?
朝っぱらから!?


「最悪…」


ためらいながらもあたしはレンにキスをした。

だって、「口止め」だから―――