なぜか、そう思った。


「レン…」


…あたしは…―――


あなたの名前を呼んで、あなたの唇に何度も口付けして…

あなたを…―――


求めていた。


熱くかかる息。
大きな手に指を絡ませる。


欲しかった。
あなたが欲しかった。―――


でも、それは叶わない。


レンには好きな子が居るんだから。




―――馬鹿だね。


あたしは…

本当に…


「レンっ…」


こんなに愛しい人、他に居ない。
こんなに、誰かを欲しいと思ったことがあったかな。


こんな形で…

気づくと思わなかった…―――



あなたの…

好きな人が、あたしだったら良かったのに…―――