「これで入学式を終わります。」
司会の掛け声で入学式が終わった。はあ、長かった!海斗起こさなきゃ。
「爆睡だし。海斗!終わったよ!起きて!」
海斗!!と名前を何回読んでも中々起きない。どんだけ爆睡してんの。寝すぎでしょ。
「菜穂、海斗起きない!」
「そんなんもうほっときなよ〜!」
「や、ダメだって!」と海斗を起こそうとしていたわたしの視界が少し暗くなった。
「えっ……?」
「甘えよ。そんなんで起きるわけねぇだろ?手貸して。」
と急に現れた新山晋哉くんが半ば強引に私の手首を掴んで振り上げ………、えっ?!
「ちょ!なに、なにしてるの?!」
新山晋哉くんの訳の分からない行動に戸惑っている私に
「背中叩いたら、さすがに海斗も起きるだろ。」
と言って、私の手で海斗の背中をバシッと叩いた。
「いって!え、なに!」
すごく驚いた様子で海斗は目覚めた。
うわ〜、本当に起きちゃった。
「ほら、起きただろ?」
ニヤッと満足げに笑いながら言う、新山晋哉くんに少しだけ見惚れてしまった。
「ありがとなんて言わないからね!」
だけど、少し照れ臭くて意地を張って答えてしまった。なんだろ、なんか調子狂うな。やっぱイケメンだからか。
「言ってんじゃん、ちび華ちゃん」
なんで、名前知ってるの?!って
「チビじゃないし!標準なんだからね!」
「へーへー。ほら、海斗行くぞー。」と言って新山くんは海斗を連れて教室に帰っていった。
「ちょっと、華!なんか急に仲良くなってない?!よかったね!」
と、少し興奮気味の菜穂。良くないし!イケメンだけど性格が良くないよ!
「良くないよ!だってアイツ、私のことチビって!」
「まあまあまあ、いいんじゃん!これから楽しみだね〜!」
ちょっと新山くんにはムッとしたけど、菜穂も海斗もいるし、高校生活楽しくなりそうだな〜。

