いつも通りに朝はやってくる。
学校に行きたくない。
重い足を引きずりながら校門まで来たはいいけど、そこから一歩も前に行けない。
(宮野と会いたくないなーー)
なんで宮野と同じクラスになっちゃったんだろうな。
成宮くんと同じクラスになりたかったな。
はぁ…とため息をつき、仕方なく歩き出そうとしたら、後ろからあたしを呼ぶ声がした。
振り向かなくても分かる。
少し照れくさそうにあたしの名前を呼ぶこの声はーー。
「成宮くん」
「木下。久しぶり。どっか調子悪いの?」
心配そうに首を傾げるその姿にきゅんと胸はときめく。
(成宮くんに朝から声をかけられるなんて、絶対今日はいいことある!)
「ううん、大丈夫。心配してくれてありがとう」
あたしが微笑むと、成宮くんも嬉しそうに、笑う。
笑うとより目尻が下がり、もっともっと優しい顔つきになる。
「そっか。よかった」
「でも本当久しぶりだね〜」
本当に本当に久しぶりだ。
成宮くんと二人で話せるなんて、考えてみたら2年生になって初めてかもしれない。
成宮くんと話すと胸がぽかぽかして、すごくほっとできる。
自然と笑顔がこぼれる。
成宮くんも優しそうに微笑んでいる。
(うん。あたしこの笑顔が大好きだな)
