学校が終わったあと桜と一緒に校門まで歩いていたら桜の彼氏らしき人を発

見してしまった。校門の前でソワソワしながらだれかを待っている人物。

絶対に彼氏さんだ。

私の視線に桜は気づいたのか彼氏さんを見るなり嬉しそうな表情になり彼氏

さんに抱きついた。

彼氏さんは途端に顔を真っ赤にして慌てて桜から視線を外すと私と目があっ

た。すると照れくさそうにペコッと頭を下げた。

私も満面の笑みで会釈する。

そして桜が私にバイバイと手を振っていたので、私も振りかえした。

私がこれで帰ると思うかい?桜ちゃん!

少々観察させてもらいますよ♪

ということで尾行開始!!

「.....ってなんでまっちゃんがいるの!?」

「しーっ、気づかれるだろうが。」

すいませんっと謝るとまっちゃんがイタズラの笑顔で言った。

「面白そうじゃん、こういうの」

私と同じような考え(笑)

「仕方ないなぁ、邪魔しないでよー?」

ということで二人で尾行開始。

この通りは私の家の近くだから知り合いがたくさんいる。

「あれ?月ちゃん?話すの久しぶりやないー!?」

「お、おばちゃん、しーっ!!久しぶりだねっ」

パン屋のおばちゃんで小さい頃からお世話になっている人だ。

「ちょっと待っててねー」

「う、うんー。」

おばちゃん、なるべく早くしてもらいたいな....

「あー、まっちゃん先行っててもいいよ?」

「いや、いいよ。一人じゃつまんねーし(笑)」

「ん、わかった(笑)」

「月葉ぁー!!」

ガバッと誰かか抱きついてきた。

「んぁぁー!し、静かにっ!てか何事!?」

「ひ、酷いよ!俺だよっ、怜於だよ!」

「怜於兄ちゃん!?」

おもわず大きな声が出た私。咄嗟に口をおさえる。

「久しぶりだね。」

優しく微笑む怜於兄ちゃん

「前、ここら辺で泣いてるとこ見たけど平気?」

!?

「へ、平気平気!もう大丈夫だよー!」

やっばい、やっばいよこれ。

「でも、今日の朝も泣いてなかった?」

うぐっ......

「あー、いや、目にゴミが入っちゃってー」

後ろからの視線を感じる。痛い。とても。

「へー、そうなんだ!よかった!」

「矢城、そろそろ」

まっちゃんに言われ怜於兄ちゃんと別れる

「朝、泣いてたんだ?」

「い、いやいや!ゴミが入っただけだって!」

「俺、月葉のこと好きだよ。だから教えてほしい」

.......。

「........おい(笑)」

「あー、バレてた?これでもダメー?」

ったくー、私の一瞬ドキッてした感情返してほしいわ(笑)

「それにまっちゃん、彼女がいるじゃん!」

「 ....俺さ、もうあいつとやっていけねぇかも。」

お、ここは相談に乗ってやるべきか!

桜たち見失っちゃったし丁度いいかな。

私たちは近くの公園で話すことにした。

「話、聞かせてよ」

「あー、いつもわりぃな!」

まっちゃんは申し訳なさそうに笑って話始めた。

「なんて言えばいいの?あのー、あいつがさ俺の目の前で他の男の話をする

んだよ。まあ、俺は別にいいんだけどさ、」

絶対妬いてるよな、こいつ(笑)

「うん。」

そう思いつつ返事をする。

「俺にさ、こいつになれって感じで誘導尋問かけてきてるように感じてきて

さ、それにもううんざりなんだわ。俺は俺なのにさ」

「確かにね、それは嫌だよね。」

「だろ?それにあいつが俺に対する好きっていう感情が強いんだよな」

「つまりは、彼女からの好きっていう感情がまっちゃんに重たすぎて抱えき

れない。みたいな感じかな?」

「まあ、そんな感じ。これはさ、もう別れた方が良くね?」

んー、難しいなぁ...

「まっちゃんは、今まで彼女さんに何をしてあげた?

何かプレゼントとかあげたりとかした?」

「え?いや最近は全然。」

「寂しいんじゃないかな?俺がなにもしてあげてないからか?」

まっちゃんは簡単には彼女さんを手放したくないはず。

なら、頑張って励まさなきゃ!もっと幸せになってもらわなきゃ!

「うん。彼女さんだけに問題があるわけじゃないと思うんだ!」

「そーか?んー....まあ、頑張ってみるわ。いつもありがと...な....」

まっちゃんがベンチから立ち上がって歩こうとした足を止めた。

「まっちゃん?」

「俺、帰る。」

まっちゃんが固まって見ていたその先には、彼女さんと知らない男の人が手

を繋いで歩いている所だった。

「まっちゃん!待って!」

私の制止を聞かずにどんどん歩いて行くまっちゃん。

歩くスピードが早くて見失ってしまいそうだった。

というよりも、歩く後ろ姿がとても悲しく切なく消えてしまいそう。

いつも大きくてたくましい背中が今、小さくて幼い子が泣いてるようにも見

える。まっちゃんをこのまま一人にしたら消えてしまいそうで。

必死に追いかけた。

するとピタッとまっちゃんが止まった。

「俺、ダメだ。あいつが浮気してても傷つかないって思ってた。そんなにす

きじゃないから傷つかないって。でも、俺いつの間にか好きになってたんだ

な。こんなに傷つくもんだなんて思ってなかった」

「うん....」

「俺、どうすればいいと思う?わかんねーよ。」

自虐的な笑みを見せるまっちゃん。

「私が....私が、なんとかする」

「なんとかってなんだよ」

「わかんない。」

でも、このまま放っておけないよ。

だってまっちゃんは大切な友達だもん。

「いいよ、大丈夫。俺、諦めるわ」

「ダメだよ!好きなんでしょ!?好きならそれなりの行動を...」

そう言ったけれど、まっちゃんは笑いながらいった

「俺はもうあいつの心にいない。俺も悪かったんだから。今度彼女ができたら大切にするよ」

笑っていたけれど瞳の奥はどこか悲しみを纏っていた。

こればかりは私が口出ししちゃいけない気がして私は頷くことしかできな

かった。

「実はさ、気になってるやつがいたんだよね。俺」

ニヒヒッと照れくさそうに笑うまっちゃんはさっきまでと違ういつものまっ

ちゃんに私は見えた。

その後私はまっちゃんを家に送ってからスーパーに寄って家に帰った。

玄関を開けると愛犬のミルキーが私を出迎えてくれた。

「ただいまぁー、ミルー」

頭を撫でるとミルキーは気持ち良さそうに目を瞑った。

なんだか私も眠くなってきたな。早く夕飯作らないと。

そういえば、まっちゃん平気かな。