10年後

同じ日に産まれ同じ血液型を持つ2人。
でも2人が向かう先は別れだった。
変わらないのは晃のまっすぐで輝く瞳だけだった。











春を迎え私は3年生になった。
学校では相変わらず誰とも口をきいていない。


そして、また夜の街へ戻った。
よく笑いよく話した。晃を思い出す事が多かったが、忘れたかった。












日本を経つ前日。晃と会った。
ミントグリーンの車はもう海岸へは行かなかった。
私の家の前で止まったまま。




『いよいよ明日だね。』
『うん。』





同じ日に産まれ同じ血液型を持っていてもやはり2人は他人だった。
心の繋がりも今はもう昔の事だ。
形を変えてしまった2人は友達にはなれなかった。



『愛してる。』
晃がつぶやいた。またまっすぐな瞳が私を捉える。



目の前がぼやけた。もう止まらなかった。晃がいないとだめなんだ。








『行かないで…』









やっと言えた言葉はもう遅かった。
分かっていた。晃は明日日本から経つ。
それは変わらない、変えられない事実。
もう元には戻らない。











私たちは最後にハグを贈った。
同じ日に産まれ同じ血液型を持つ私たちは離れてしまう。



ミントグリーンの車は静かに走り始めた。










私はずっと空を見ていた。
晃はもう出発したんだろうか。無事飛べたんだろうか。今はどこにいるんだろうか。


涙でぼやけた携帯の画面を見つめる。
晃のアドレス帳を出し、編集ボタンを押す。
名前の最後に入力した。
ハートマークを。











それから夜の街でとにかく遊んだ。
久し振りに顔を出した私にみんな優しかった。
誰も詳しくは知らない。
だからこそ気楽で楽しかった。

週末はクラブへ行き朝まで踊った。
一気に春になった気候は夜遊びには最適だった。
誰と話したか、どうやって帰ったか、そんな事はどうでも良かった。とにかく遊び続けた。





『冬は何してたの?』




突然聞かれる事もあったが、『なにも』と返せばそれ以上は聞かれない。
思い出す事を怯えるほど子供ではなかった。
でもやっぱり思い出したくない、晃との思い出。
時々涙が出る日もあったが、夜の街でごまかしていた。

もうそろそろ梅雨が始まる。
雨も私の涙をごまかした。