近くの小さな公園のベンチ。


何から話せばいいのか、何を話せばいいのか分からなかった。





けれど、私たちはまた一緒にいる。
それだけで。
ただそれだけで、嬉しかった。
もうそれだけで良かった。












『また、こうして会えたのも…』
『もういいから。』

また咄嗟に声が出た。





これ以上、壊したくなかった。
これ以上、傷つきたくなかった。





だけど、晃は続けた。








『また、こうして会えたのも、やっぱり意味があると思ってる。あれから7年、俺はずっと想ってた。』


『俺たちは「特別」なんかじゃない。だけど、俺たちは繋がってるんだよ。分かってるだろ…分かってるって信じてる。』









まっすぐ輝いた瞳が10年前と変わらず、今もそこにあった。








『私は… 最後に言った通りだよ。晃だけを愛してる。この10年、私は晃が全てだった。』

『晃だけを想ってた。晃だけが大切だった。晃は私自身だったんだよ。』











同じ日に産まれ同じ血液型を持つ私たちはいつだって繋がっていた。

これからもずっと繋がっていく。


晃だけが大切だった。
誰よりも、ずっと、ずっと深く。


晃は私。
私は晃。



寂しくないよう…
悲しくないよう…
傷つかないよう…


大切に大切にしていた。
大切にしすぎていた。






誰にも分からない。
誰にも止められない。
誰も入れない。
誰も壊すことは出来ない。



私たちはずっと繋がっていくんだ。







「よりを戻そう」とか「また付き合いたい」とか、そんな簡単なものじゃない。











私たちは一緒にいなきゃだめだったんだ。