10年後

私は開いたドアをずっと見つめていた。
目を離すことが出来なかった。
見ずにはいられなかった。


ほんの一瞬。




だけど、とても長く感じた。





そう。
見ずにはいられなかった。







ずっと会いたかった。
ずっと触れたかった。


ずっと… ずっと…

ずっと思っていた。




いつも。
いつだって私たちは繋がっていた。










『隣いい?』








まっすぐ輝いた瞳が私をとらえた。







『うん。』










『久し振りだね。どうしてた?』
晃が話した。

『仕事ばっかしてたよ。ずっと忙しかった。』



多分。
多分そうだったと思う。


何も覚えていない。


あの時からの出来事なんて、私にとってどうだってよかった。





『そっか。』

晃はそう小さく呟いて、そして何も言わなかった。







私は聞けなかった。
私が知らない晃なんて存在しない。

それを突きつけられるのがこわかった。







『俺はね…』
『いい。聞きたくない。』


咄嗟に声が出た。



『そっか。』
晃がまた小さく答えた。








それから、何も話さなかった。