10年後

晃も仕事が終わりクラブへ来た。
カウンターで話す私たちを見つけ

『お疲れー!疲れたー!』

と私にもたれかかった。



私は機嫌が良かった。
疑いがはれた今、私を邪魔するものはなかった。






3人で再び乾杯をしたが、私と美香ちゃんはカウンターに座ったままだった。




美香ちゃんは私の意見を聞きたいと言っていたが、晃と恭ちゃんくらいしか付き合ったことがない私は意見をする程の立場じゃなかった。




『晃さん、いつも早く帰るんですよ!みんな終わったらお店でご飯食べたりするんですけど、待ってるかもって言って…だから電話になっちゃうんですよ。』



私の知らない晃だった。



『「俺たちは普通のカップルとはちょっと違うかも。」っていつもそう言ってますよ… 私、羨ましいなって… 私の憧れのカップルなんですよ。2人は。』


美香ちゃんがいつになく真剣だった。
そして、初めて晃の気持ちを間接的に聞いた。




誰にも止められない。
誰も入れない。


深く繋がっている私たちにしか分からない事が、今初めて崩れかけていた。







『そうだね。普通のカップルとは違うかな。なんていうか…』



言葉に詰まった。

私たちを言葉で説明する事は出来ない。
深く繋がる私たちにしか分からないことを言葉で説明する事は出来なかった。








『私は晃自身… そんな感じですか?』


美香ちゃんが言った。













今。
静かに2人が崩れていった。








同じ日に産まれ同じ血液型を持つ私たち。

誰にも分からない。
誰にも止められない。
誰も入れない。
誰も壊すことはできない。

深く、深く繋がる私たち。














晃と出会った夏。
晃と再会した夏。
大切な夏。


私たちは静かに崩れていった。