太陽が容赦なく照りつける夏。
またこの季節が始まった。






いつだって夏は思い出させる。



まっすぐに輝いた瞳を…












晃と私はあれから何事もなかったように付き合っていた。
同じ日に産まれ同じ血液型をもつ私たちは、気持ちを分け合い、傷付き、慰め、そして前へ進んでいた。

『私自身の問題』なんて存在しない。
いつだって私たちは1つなんだ。



1つだったはずなのに…








美香ちゃんは、アルバイトとしてずっと働いていた。
あの日から少し距離を置くようになったが、それでも仲良くしていた。









どこで狂ってしまったんだろう。
どこで離れてしまったんだろう。








晃はいつも、深夜に帰って来ていた。
晃の帰りを待つ時もあったが、朝から働く私は寝ている事も多かった。


帰ってからも、晃は美香ちゃんと電話している時があった。
その事が、とても辛かったが、気付かない振りをしていた。

口に出してしまえば、自分を保つ事が出来ないと思った。
晃を責めてしまいそうだった。




晃が傷付けば、私も傷付く。



そう。
私たちはいつだって繋がっているから。
私たちはいつだって深く、深く、繋がっている。

誰にも分からない。
誰にも止められない。
誰も入れない。
誰も壊すことは出来ない。


私たちは特別だった…





はずなのに…







週末。いつも通りクラブへ向かった。
その前に仕事の飲み会が入っていたが、思いの外、早く終わってしまい、私は1人だった。


だけど、晃も仕事が終わり次第、顔を出す。


『先に行ってるね!』

一言だけメールを入れ、ドアをあけた。







『わぁ!今日早いですね!嬉しいー!!』


そう言ったのは美香ちゃんだった。


『今日バイト休みなんです!』


美香ちゃんは笑っていた。



あれから距離を置いていたものの、やっぱり話さない訳にはいかない。

美香ちゃんと乾杯し、フロアへは行かず、カウンターで話した。






『私、好きな人出来たかもです…』

突然、美香ちゃんが切り出した。





突然すぎて、思わず声を上げた私に美香ちゃんは

『シーっ!』

とジェッシャーした。





どうやら、同級生の男の子らしく、私は会った事のない人だそう。
偶然お店に来た時に話が弾み、それから気持ちに気付いたそうだ。





『晃さんにお店終わってから電話とかで話聞いてもらってて… すいません…』



どうして、謝るのか分からなかったが、私に気を使っているんだろう。


『全然気にしないで!それより良かったね!』


そう言った私はうまく笑えていた。






晃への疑い。
美香ちゃんへの嫉妬。



美香ちゃんに好きな人が出来た事で、少しクリアになっていた。







そう。私は浅はかだった。