彼は本当にすぐに来た。
とゆうよりも私が出るより先に着いていた。
1回しか会っていないのに、車は覚えていた。
ミントグリーンは今まで馴染みがなかったが、
10年後の私はミントグリーンのセーターを着ている。






『電話ありがとう!ビックリした!なにかあったの??』


晃は笑っていた。
暗い車のなかでやっぱり晃の瞳は輝いていた。




『いや~別に何もないよ!ただ近くにいただけでさ。』
『そっか!でも週末まで会えないと思ってたから…』

本当の事を言ってしまいそうだった。

嬉しかったと。







車が走った先は初めて話した場所だった。海風はまだ夏の終わりのままだ。

『ねぇひとつ聞いてもいい?』
晃が言った。
緊張してまっすぐ見つめることが出来なかった。




『なに…?』
『うん。ずっと一緒にいれないかなって…』
『…』
『付き合える?俺と。』







確信が現実に変わった。
返事はしなかった。言葉はいらないと思った。
晃にキスを送った。






アドレス帳のハートマークは消したままだった。
本当の私を知って晃に軽蔑されるのがこわかったから。
晃のことが好きでたまらなかった。





同じ日に産まれ同じ血液型を持つ私達はいつも一緒だった。
時間が許す限り連絡を取り、会いに行った。
晃の瞳がまっすぐだったように、私たちの気持ちもまっすぐだった。
秋を迎えて、暖めるかのように2人の距離は近付いていた。




そして2004年の冬。初めて結ばれた。