31日の夕方。晃は仕事へ出掛けた。
ほとんど物がない部屋をなんとなく掃除し、晃が帰ってきてから出掛けれる準備していた。
だけど、年末に1人で家にいるのもつらい。
実家へ帰ろうかと思っていた頃、携帯が鳴った。
相手は美香ちゃんからだった。
美香ちゃんは私よりも2つ年が下の学生だった。
少しふっくらした彼女は可愛い、というより、愛嬌のあるタイプだった。
みんなから妹のように可愛がられ、私も美香ちゃんを可愛がっていた。
クラブでたまたま隣にいた事がきっかけだったが、晃を含め私たちは仲良くしていた。
私にも晃にも気を使ってくれ、そしてとても気がきく子だ。
『お疲れ!どうしたの?こんな日に電話なんてビックリしたんだけど…』
『それが、今クラブにいるんですけど、来てなかったんで電話してみました!いつ来ます??』
美香ちゃんは私をとても慕ってくれていた。
『晃がね、今日まで仕事なの。だから終わってから一緒に行こうかと思ってたんだけど…美香ちゃんいるなら今から行くわ!』
1人でカウントダウンはさすがに寂しすぎる。
『分かりました!もうかなり待ってたんですよ!早くきてくださーい!早くー!』
電話越しに笑う美香ちゃんに私は救われた。
そのままタクシーを拾い、晃にメールをしようと思ったが、行き先を変えた。
『公園の横にあるレストランまで。』
突然来た私を見て、晃は驚いていた。
今までも何度か来たことはあったが、連絡をしないで訪れたのは初めてだった。
『何か飲む?』
『ビールで。』
カウンター越しに見る晃はとても格好良かった。
白いシャツに黒いエプロン。
見慣れない晃を見つめながら、美香ちゃんの事を話した。
『ちょっと心配してたんだよ。こんな日に1人にさせてたからさ…でも、もうすぐ上がれそうだから待ってて!』
そして着替えた晃と一緒にクラブへ向かった。
レストランの駐車場に停めてあったのはミントグリーンの車。
『え?なに?…どうしたの?』
驚く私を見て、晃は嬉しそうだった。
『今日は行きたい所があるんだ!だから帰りにちょっと付き合ってよ!』
そう言ってまっすぐ輝いた瞳で私を見つめた。
クラブのドアを開けると『もう待ちくたびれた』と言わんばかりの美香ちゃんが駆け寄ってきた。
『遅いですよー!めっちゃ心配したんですからー!』
そう言う美香ちゃんがとても可愛かった。
『何か飲みます?』
美香ちゃんはやっぱり気がきく子だ。
友達もたくさん来ていたし、フロアもたくさんの人でごった返していた。
友達を集め、私たちは乾杯した。
みんな思い思いに話をしていたが、カウントダウンを間近にした今は、少しも気持ちも高まっていた。
美香ちゃんはとてもいい子だ。
誰とでも話を合わせるし、良い聞き役にまわれる子だ。
そんな美香ちゃんを私は嫉妬にも似た気持ちで可愛がっていた。
私にはない、特別な才能を持っていた。
私は誰とでも仲良く出来るが、気がきくタイプではなかった。
そして、上手に聞き役にまわれるタイプではなかった。
誰にも可愛がられる美香ちゃんは確かに可愛かったが、私はどこか嫉妬をしていたのかもしれない。
そんな複雑な気持ちだったが、晃がいつも私の手を繋いでいてくれたから、紛らわす事ができた。
私たちはいつも繋がっている。
晃に愛されている。
それだけで、私は気持ちよく振舞うことが出来ていた。
5、4、3、2、1
『あけましておめでとう!!』
クラブ中にみんなの声が響き渡った。
晃の手は繋がったままだった。
美香ちゃんが私たちの側に来て
『今年も遊んでくださいね!』
そう笑った時、嫉妬が確信に変わった。
『今年も遊ぶぞー!』
そう笑った晃に対しても嫉妬していた。
なんとも言えない気持ちになった私を救ってくれたのは晃だった。
私を救えるのは晃しかいないんだ。
ほとんど物がない部屋をなんとなく掃除し、晃が帰ってきてから出掛けれる準備していた。
だけど、年末に1人で家にいるのもつらい。
実家へ帰ろうかと思っていた頃、携帯が鳴った。
相手は美香ちゃんからだった。
美香ちゃんは私よりも2つ年が下の学生だった。
少しふっくらした彼女は可愛い、というより、愛嬌のあるタイプだった。
みんなから妹のように可愛がられ、私も美香ちゃんを可愛がっていた。
クラブでたまたま隣にいた事がきっかけだったが、晃を含め私たちは仲良くしていた。
私にも晃にも気を使ってくれ、そしてとても気がきく子だ。
『お疲れ!どうしたの?こんな日に電話なんてビックリしたんだけど…』
『それが、今クラブにいるんですけど、来てなかったんで電話してみました!いつ来ます??』
美香ちゃんは私をとても慕ってくれていた。
『晃がね、今日まで仕事なの。だから終わってから一緒に行こうかと思ってたんだけど…美香ちゃんいるなら今から行くわ!』
1人でカウントダウンはさすがに寂しすぎる。
『分かりました!もうかなり待ってたんですよ!早くきてくださーい!早くー!』
電話越しに笑う美香ちゃんに私は救われた。
そのままタクシーを拾い、晃にメールをしようと思ったが、行き先を変えた。
『公園の横にあるレストランまで。』
突然来た私を見て、晃は驚いていた。
今までも何度か来たことはあったが、連絡をしないで訪れたのは初めてだった。
『何か飲む?』
『ビールで。』
カウンター越しに見る晃はとても格好良かった。
白いシャツに黒いエプロン。
見慣れない晃を見つめながら、美香ちゃんの事を話した。
『ちょっと心配してたんだよ。こんな日に1人にさせてたからさ…でも、もうすぐ上がれそうだから待ってて!』
そして着替えた晃と一緒にクラブへ向かった。
レストランの駐車場に停めてあったのはミントグリーンの車。
『え?なに?…どうしたの?』
驚く私を見て、晃は嬉しそうだった。
『今日は行きたい所があるんだ!だから帰りにちょっと付き合ってよ!』
そう言ってまっすぐ輝いた瞳で私を見つめた。
クラブのドアを開けると『もう待ちくたびれた』と言わんばかりの美香ちゃんが駆け寄ってきた。
『遅いですよー!めっちゃ心配したんですからー!』
そう言う美香ちゃんがとても可愛かった。
『何か飲みます?』
美香ちゃんはやっぱり気がきく子だ。
友達もたくさん来ていたし、フロアもたくさんの人でごった返していた。
友達を集め、私たちは乾杯した。
みんな思い思いに話をしていたが、カウントダウンを間近にした今は、少しも気持ちも高まっていた。
美香ちゃんはとてもいい子だ。
誰とでも話を合わせるし、良い聞き役にまわれる子だ。
そんな美香ちゃんを私は嫉妬にも似た気持ちで可愛がっていた。
私にはない、特別な才能を持っていた。
私は誰とでも仲良く出来るが、気がきくタイプではなかった。
そして、上手に聞き役にまわれるタイプではなかった。
誰にも可愛がられる美香ちゃんは確かに可愛かったが、私はどこか嫉妬をしていたのかもしれない。
そんな複雑な気持ちだったが、晃がいつも私の手を繋いでいてくれたから、紛らわす事ができた。
私たちはいつも繋がっている。
晃に愛されている。
それだけで、私は気持ちよく振舞うことが出来ていた。
5、4、3、2、1
『あけましておめでとう!!』
クラブ中にみんなの声が響き渡った。
晃の手は繋がったままだった。
美香ちゃんが私たちの側に来て
『今年も遊んでくださいね!』
そう笑った時、嫉妬が確信に変わった。
『今年も遊ぶぞー!』
そう笑った晃に対しても嫉妬していた。
なんとも言えない気持ちになった私を救ってくれたのは晃だった。
私を救えるのは晃しかいないんだ。