10年後

『…晃?』

息を切らせた私の声は震えていた。
泣いているんだろうか。
もう分からない。
晃以外、何も見えないし、何も分からない。






『ただいま』






まっすぐで輝く瞳が私を捉えた。
私の心まで捉えていた。






『会いたかった…』







そう言ったのは私だったか…
それとも晃か…
何も分からなかった。









『今、時間ある?』
また晃の瞳が輝く。

『…うん』
そう言って晃を見つめる。










夏の終わりの海岸。
何も変わっていない。
海風は少し冷たいし、晃の瞳は輝いたままだった。




聞きたい事は山ほどあった。
話したい事も山ほどあった。







私たちは同じ日に産まれ同じ血液型を持っている。
何も言わなくてもわかる。

私たちは深く深く繋がっている。



たとえ、会えなくても、海を越えても、また愛し合えなくても…


それでも深く繋がっている。






だけど、触れられずにはいられなかった。

会えなかった時間を埋めるかのように、そこにいるとゆう事実を確かめるように、そして心から愛していることを伝える為に…


何度も何度もキスをした。













『オーストラリアはどうだった?』

『すごく楽しかった。海もキレイだったし、何より夜の星空は日本では見れないよ。いつか一緒に見たいな…』


ベットの上。
薄暗い部屋。
晃の腕の中。


晃の瞳がまっすぐ上を向き、そしてまた輝いた。





『あれから… 何してたの?』
晃が小さくつぶやいた。




『あれから…』







晃が日本から経って2年。
色んな事が変わっていた。
高校生だった私は今働いている。
見た目だって、ぐっと大人になっている。

変わった事と言えば…






いつだって笑っていた。
いつだって私を探してくれた。
いつだって優しかった。
恭ちゃんがいた。