10年後

晃への気持ちに気付いた夏。
私の生活は何も変わっていなかった。

毎日朝早く仕事へ行き、終電で帰宅する。
恭ちゃんとは別れたが、もう引きずっていなかった。


一度だけ恭ちゃんと連絡を取ったが、気持ちが変わる事はなかった。
そう晃への気持ちは変わらなかった。








夏の終電は嫌気が差す。
金曜日ともなれば、お酒の臭いが充満していた。
一週間の疲労を体中に充満させていた私にはとどめだった。

『最悪…』

口に出さずにはいられなかった。


駅を降り歩いて家に帰る。
家までの道が遠く感じた。
夏の暑さも手伝って、わたしはかなり疲れていた。












家の前まで近付くと私はハッとした。


全身が震えているのが分かる。
目の前がぼやけている。
もう他に何も見えなかった。
他に何も見たくなかった。




私は走っていた。














まっすぐで輝く瞳を持つただ唯一の人。
同じ日に産まれ同じ血液型を持つただ唯一の人。





やっぱり私たちは繋がっていたんだ。






ミントグリーンの車に持たれかかった晃がいた。






晃と出会って2年目の夏の終わり。
私たちが出会った季節に、再会した。