10年後

それから恭ちゃんは毎日のように学校へ迎えに来ていた。




週末のクラブでしか会わなかった恭ちゃん。
実は大学生だった。
第2高校は進学に力を入れてるので納得出来た。
それから大学の近くで一人暮らしをしていた。
恭ちゃんの地元は少し遠いところにあり、大学に通う為だそう。
バイトはしてないと言った。親の援助で生活していると。


『それで週末はクラブ通い!なんて殺されそうだ!』と笑っていた。







恭ちゃんは私との時間を大切にしてくれた。
きっとまた一人にするのがこわかったんだと思う。
私も一人になるのがこわかった。

必ずまた晃を思い出す。
恭ちゃんに申し訳なくてそれだけはやめたかった。
恭ちゃんも薄々気付いていたと思う。
でも聞かなかった。
それが恭ちゃんの優しさだ。








恭ちゃんが学校へ迎えに来るようになり、私は色々と噂されるようなった。

『いいな〜先輩と付き合えて〜』
『本当格好良いよね〜』
と聞こえる事もあれば、

『何であいつな訳?あり得ない。』
『確かに!趣味悪過ぎ…』
と痛い視線を感じる事もあった。


気にならない。
誰も私を知らないんだから。
恭ちゃんだって本当の私を知らない。
誰も私を知らない。










でも1人だけ知っている。
本当の私を。




本当かどうかと言われれば違うかもしれない…
でも2人はいつだってまっすぐ向き合っていた。
だって私たちは同じ日に産まれ同じ血液型を持っていたから。











恭ちゃんとクラブ以外で会う事が当たり前になってきていた冬目前。

『久し振りにクラブ行かない?』
と恭ちゃんが笑った。

恭ちゃんも私と一緒にいたから、顔を出していない。
『いいよ〜!』と言った私は多分笑ってた。




久し振りの週末。夜はとても寒かった。
恭ちゃんと一緒に、続く階段を降りる。
相変わらずポスターやシールがぐちゃぐちゃに貼られている暗い階段。




ドアを開けるとエリさんがいた。




『やだ〜!!本当久し振り〜!2人とも元気にしてた? あ!てか付き合い始めたって〜?おめでとう〜!今日はお祝いよ!』

と一気に話した。
エリさんはかなり興奮していた。
やっぱりエリさんは笑ってた。



エリさんに『おめでとう』と言われ、それから『やっぱりね!』と耳打ちされた。




恭ちゃんとエリさん、それから私。
3人はとにかく話した。
会っていなかった時の事や、付き合い始めた事。

『俺抱き締めちゃったからね〜』
と笑う恭ちゃんは、初めて迎えに来た日の事を隠した。それが恭ちゃんの優しさ。









それから、私はフロアで踊り続けた。









恭ちゃんが私を探しにフロアへ来た時はもう明け方だった。
そしてまた





『いた!』





と笑った。




薄暗いクラブでまっすぐに私を見つめていた。