見張り役が言うと、「観衆達」は素早く自分の席へ戻り、あどけない少女を演じる――。
公の場においても、「先生」と呼ばないところが、このクラスの性質の一部を物語る――。
「鏡花はいつも早いんだよなぁ――」
温まった空気と雰囲気が冷めてゆくのを惜しむキャサリンが言い、唇の端を噛む――。
「決着は、いつもの時間、いつもの場所でよろしいですわね――」
慣れた仕草で、第1幕の終了を宣言するリンスロット――。
「いいだろう――」
キャサリンが、すかさず応じる――。
「ひばり様、決着って――」
「まぁまぁ、そのうちわかりますよ――」
面倒な事にならなければと、りおんはひばりに問うが、曖昧な言葉と麗しい笑顔でかわされる――。
既に、かの二人は何事もなかった様に、「正しい」姿勢で鏡花を待つ――。
空気の流れが止まる――。
鏡花が教室に入る――止まった空気が対流し、また流れ始める――。
「じゃあ、今日はここまで――」
授業終了のチャイムと同時に、初老の男性教師が名残惜しそうに言い、教室を出てゆく――。



