『はぁー』

…ため息が止まらない。

私は、家までの帰路を、一人ゆっくりと歩いていた。

いつもは羽美と一緒に帰っているのだが、テニス部に所属していて、今日は部活の日なのだ。

お互いに部活がない時は一緒に、近くのショッピングモールに行ったり、カラオケや映画などに行ったりする。
と言っても、羽美とは放課後に遊びに行くことはあまりない。

何故なら、彼女は運動部に所属しており、私が文化部に所属しているからだ。

テニス部は週5に対して、私が所属する調理部は週2回活動している。

ので、私達が一緒に帰れることはほとんどと言っていい程ない。

けど、今日は一緒に帰れなくて良かったのかも知れない…。

あの時の私の態度に羽美は疑問を持っただろう。

私、明らかにあの話題から逃げてしまった。
から、もし今日一緒に帰れたとしてもお互いにギクシャクしてしまう気がする。

羽美は相手の事を思いやり、間違っている事はきちんと「ダメ!」と言える人だ。

それに比べて私は…自分の言いたい事を言えない、いつも人の顔色ばかり伺ってしまう。
基本的に合わない2人が、何故友人関係を続けていられるのか自分でさえ分からない…。


ふと、腕時計を見ると、学校を出てから、15分たっていた。

15分も歩けば、そろそろ最寄り駅の「三名日駅」に着くだろう。
『暑っ…』

いくら5月の中旬だとはいえ、日中には、太陽がサンサンと照りつけている。

今日は、夕方になってもまだ、ムシムシとしていた。

『駅で、飲み物買おうっと!』

そう呟きながら、私は「三名日駅」までの距離を歩いた。