空も飛べない…。



「…好き、なの。あなたが好き。だから、ここにいて…あたしの隣じゃなく、誰かの隣でもいい。………生きて」



その子の涙が、ポタポタと顔に落ちてくる。




俺は無意識の内に、体に力を入れてた。




小さな抵抗を受けながらも、ちゃんと地面に立ち、



その子を抱きしめていた。



戸惑いながらも、背中に手を回して、その子は言葉を続ける。


「……あなたは一人じゃない。だから、この世界で生きて…消えないで」





「ありがとう…」





いつの間にか、涙がこぼれ落ちていた。




……ごめん。


俺はもう少しだけ、



この子と一緒に生きてたい。





だから、空で待っていてくれないか?




俺は君のように


空も飛べない。





空が、笑った気がした。

「…ありがとう」




~end~