「……しかも、構ってくれてたの?……俺、そんな可愛い?」
「……勝手にそうとれば!もう……腕、痛いから離して」
「……やだっつってんじゃん」
そう言った朔がまた、あたしの顔に近づく。
逃げれないあたしは、ギュッと目を瞑る。
すると、なかなか唇に何も当たらないから不思議に思って目を少しだけ開けると、朔が数センチの距離であたしを見つめていた。
「……嫌なら逃げれば?……キスするよ?」
「…え、だ、だって……」
「……もう、腕掴んでねぇけど」
朔はいつの間にか、掴んでいた手を離していた。
全然、気づかなかった。
それなのに、あたしずっと目瞑ってたなんて……
……朔のキスを待っていたみたいだ。
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