「……ほんとだよ。……昨日、告白されたの。……なんで、朔知ってるの?」

「……先輩から訊いた。……『結衣ちゃん、もらったから』って。……なんなの、アイツ。……喧嘩売ってんの?」


やっぱり朔は怒っていた。


朔もバスケ部。

朔だって、スポーツ万能だけあってかなり上手い。


いつも、比較されるのは先輩と朔。


だから、朔はいつも先輩をライバル視して影ではいつも『アイツ』呼ばわり。


「……そんなこと言ったんだ、先輩。ふふ(笑)……なんか嬉しいかも」


そう笑うと、朔の顔はさっきよりももっと怪訝になる。


「……何にも面白くねぇんだけど。……アイツなんかと付き合うなんてバカじゃねぇの?……バーカ、バーカ、バーカ」


冷たい表情でそう言う朔に、あたしはだんだん腹が立つ。


「……バカじゃないもん。……朔のほうが、そうやってすぐ怒るからバカなんだもん」

「……お前より遥かにマシだし」


朔はそういいながら、グイッと掴んでいた手首を上げると、そのままあたしの身体を壁にドンと押し付ける。