「……っ、ちょっ……ちょっと、朔(さく)?!何すんのよ?!」
「……うるさい」
朔の歩くスピードは変わらず、朔はあたしの手首を掴んだまま、裏庭のほうへと無理矢理連れていく。
朔というのは、あたしの幼なじみ。
自分勝手で、わがままで、口が悪い……いや、態度も悪い。
そのくせ、顔がイケメンだからって学校の女子からはモテモテ。
スポーツだって万能、頭だって多分あたしより遥かにいい。
性格悪いくせに、モテるからなんかムカつく。
「ちょっと、なんなのよ、いきなり」
裏庭まで来て、足を止めた朔をあたしは睨みつける。
それでも、あたしより背の高い朔を睨みつけたところで、見上げる形になってしまうのは全然迫力なんてないことわかってる。
「……先輩と、付き合ってるってマジ?」
手首を掴んだまま、そう訊いてくる朔はなんだか怒ってるように聞こえた。
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