あたしは自分の部屋からお母さんの遺影があるお父さんの部屋に向かった。

お父さんは今日も飲みに行っている。

ガチャッと部屋のドアを開け、電気をつけた。

微笑んでいるお母さんの遺影と目があった。

「何であたしは、お母さんの子じゃなかったんだろ…」

誰もいない部屋の中で、呟いた。

産まれたばかりのあたしをすぐ捨てるような人でなしの女よりも、お母さんの子になりたかった。

自分の出生を知ってしまったあの日、あたしは涙を流した。

あたしは、お母さんの子じゃなかった。

九重兄さんと一葉姉さんの妹じゃなかった。

3人兄妹の末っ子で、お父さんとお母さんの本当の子だと、そう信じて疑わなかったのに…。