蒼の歩み


「そ、それは。大切な人に渡したりとか……?」



「別にそんなんじゃねーよ。そん時のノリで、会社でな。仲良い奴や、欲しいつってくれた奴に宛名入りでメリークリスマスだけ書くっての。懐かしいな。まだ半年ちょっとだが遠い昔に感じる」



……そうなんだ。つまり、あやかさんが持っていたあのカードは。あやかさんだけが持っているわけではなかったんだ。それを知れたことで何故だかホッとした気持ちを抱く私は、性悪なのでしょうか。



「へぇ~……!いいな、それ!今年もやってよ。それか、私の誕生日にでも」



「気が向いたらなァ。つーか、おめーの誕生日いつか知らねェし」



と言いながら彼は、耳に指を突っ込み、あーーーと静かに騒いでいた。……それは、私の誕生日を聞きたくないアピールなのだろうか。



……聞かない気満々な態度は、冗談だとわかっていても、ちょっぴりだけ哀しかった。




「どうすっかね、今年も書くか。ま、そん時の気分になるだろうなぁ。真歩も俺のカード見たいみてぇだし。そんな大したもんじゃねーんだけどな」



「わ、私。蒼君のメッセージカード見たことあるよ……」



あやかさん宛の。



「ん?」



「あ、いや。メッセージカードというか。ほら、アドレス書いた紙!」



「それ、メッセージカードって言わねーだろ」



「だって、綺麗な字だったんだもん」



危ない、危ない。



そろそろ出るか、と彼が言うので、私達は店を後にした。この後は、彼の家にお邪魔することに。車に乗り込もうと、助手席側のドアに手をかけようとしたその時――



「蒼真くん?あ、やっぱり蒼真君だ!」



背後から蒼君のことを呼ぶ女性の声が。私達は、同時に振り向いた。