蒼の歩み

そして、蒼君家にたどり着く。日付が変わるまでまだ数時間ほどある。



適当にくつろいでくれ、と言われ用意してくれた座布団の上に私はちょこんと座る。どうやら蒼君は、お風呂に入ってくるようだ。



「テレビでも観てな」



蒼君は、私にテレビのリモコンを投げ渡してきた。……なんというか、1人暮らしの男性の家で私はこんなにもくつろいでいてもいいものなのだろうか。私は彼女と言うわけでもないのに。



「じゃ、覗くんじゃねーぞ」



そう言い残し脱衣所に消えていった彼に向かい、覗かないわよ、もう!という言葉を浴びせた後、私は黙ってテレビのリモコンを操作した。



「……ちなみに、覗いたらどうなるの」



覗く気は更々ないけれど、覗くなと言われたら覗きたくなるのが人間ってものだと思う。振り向かずに、返事が返ってこなくてもいいという気持ちで、相手に背中を向けたまま呟いたら。



「覗いたら、襲う」



「……」



……ばか。



正面向けてなくて、よかった。そんなこと言う蒼君も、こんな一言で顔に熱が集まる私も、ばか。