――適当に街中をドライブしながら、私達は会話を続けた。いつもと違った場所での会話も、これまた花が咲くもので。……不思議だ。秋塚さんが相手なら、会話がつきることがなくて。




……しかし、私はまた飽きずにカーナビを触りだした。場所の検索も出来るんだ、すごいなと。何となく、本当になんとなく『映画館』を調べていると、信号待ちしていた彼がこの画面を見て、話しを振ってきた。



「俺、見たい映画があるんだよなー」



「映画、ですか?」




「ああ」



「何の映画ですか?」



――話を聞いてみると。それは、以前から私も気になっていた映画で。……行きたいと、思っていた。でも、1人で行くのは忍びないし、なにより映画館と言う場所に最後に自分が訪れたのは小学生以来なので、恥ずかしながら行き方がわからなかった。




「あの」




「ん?」



「よければその映画、一緒に行きませんか……?」




秋塚さんは一瞬目を丸くした。……ああ、またやっちゃったかな。私の思ったことをすぐ発言してしまう悪い癖が発動しちゃった。何でもないです、と先ほどの言葉を取り消そうとした矢先。



「いいぜ」




彼からの、OKの返事。




「……俺も、誘おうと思ってたんだ」




小さな声でそう言う彼に、私は思わず彼の表情を伺った。表情を見ても、相変わらず掴めなかったけれど。それでも私は嬉しかった。




「それじゃ、今度行きましょうね!」



「はーいよ」




というわけで私達は今度、一緒に映画を観ることになったのだった。