イブを迎える前に新しい仕事が決まり、以前の場所を辞めてから1ヶ月以内に仕事を始めることができたおかげで、金銭的な心配もしなくてすみそう。どちらかと言うと物欲があまり無い私なので、貯金もある程度あり、生活も今まで通り出来ていた。



そして、待ちに待ったクリスマスイブが訪れた。



彼が、私の下宿前に車で来てくれることになっている。彼との待ち合わせまでの5分10分が長く感じて、適当な雑誌や漫画を開いたりして時間を潰そうと試みるも、雑誌を手にした後時計に目を遣ると5分しか経過していなかったりする。



どうして、こういう時は時間の流れが遅いのだろうか。早く蒼君に逢いたいのに。



カバンの中の、最終確認でもするかと思い立ち。……手に取ったのは、長方形の緑色の包み紙でラッピングされた、箱。一応、持っていこう。例え渡さなくても……。





――そして、外で待っていると彼が到着した。普段の調子で助手席に乗り込んで。



「蒼君、こんばんはー。蒼君好きー!」



どさくさに紛れて好きと言ってみるものの。



「じゃ、行くとするか」



案の定、どスルーされてしまう。適当な言葉を一言二言交わし、車は発進した。さて。……今日の最初の、行き先は。



繁華街、と言うのだろうか。そこに飾ってあるクリスマスツリーやイルミネーションがとても綺麗らしく。街中へと、向かう。行ったことが無い場所なので、余計に楽しみだ。



それよりなにより、この間の夕陽と言い、蒼君と色々な初めての場所に行けるのは、何だか心が躍る。……蒼君にとっては、初めての場所では無いかもしれないが。



蒼君との、車内での会話は尽きないし。話したいことが次から次へと出てくるし。ホント、もう。蒼君大好き。