蒼の歩み

「俺がおめーの立場なら、映ってねーのに疑うのか、やってねーって言ってんのに何故そこしか考えらんねーと言い切れるんだ、どこをどうしたらそう見えるんだと細かく追及する。心ん中じゃもうその会社は辞めると思ってだがな。人を疑う事しかできねー会社に居たくねーし」



「もう終わってしまったことだけど、自分でも思った。もっと言えばよかったと。その日は私がたまたまその仕事をしたのだけど、もしも違う人が行えばその人が疑われてたのかなとか考えた」



「ちと腑に落ちねェのは、たまたまおめーがその仕事をやったからそうなったのか?他の奴がやってても同じ事が起こってたのか?ただのミスじゃねェのか?」



「え、っと……」



私が説明しようと言葉に詰まっていると彼は、質問責めみてぇになっちまったな悪ぃ、と謝ってきた後、言葉を続けた。



「内容がわかんねーんで、何とも理解しがたいんだが。ミスは全く無いなんてのはあり得ねェ。それをそこまで責められるってのが俺には納得いかねーんだがな。もう済んじまった事は仕方ねーが。同じ事を繰り返さねー為にも、自分の中で納得しねェといけねーと思うね、俺は」




「他の人がしても同じ事が起こったと思っていたけれど後から考えたら、私だからこそしてしまった失敗だったとも思う。自分ではきちんとしていたつもりだけど、私の確認不足でもあった。私の確認不足でこのようなことが起きたのか。普段から小さなミスが多かったし、私だったから疑われたのか」



……そう、私の確認不足。もしかしたら、金庫にお金を入れる以前に封筒の中のお札の枚数が足りなかったのかもしれない。それを私が、1度しか確認しなかったから、数えなかったから……。



もしそうだとしたら、金庫に入れる以前にお金が何処かで消えていて。上司も、そういう方向で頭を働かせたのではなかろうか。