「イギリスで住まない?」
「…はい?」
それをお母さんから言われたのは、
やっと外出出来るようになり、美容室に行けた日のことだった。
仕事があるからと病室を出る前に、思い付いたかのようにいきなり…である。
「なんでイギリス?」
「今度イギリスの方で支部が出来るんだけど…
その責任者に私がならないかって言われてるのよ~」
イギリス支部の責任者!?
流石はお母さん…
まさか、そこまで登り詰めていたとは。
「す、スゴいね…」
「責任者ともなると今までみたいに飛び回る事もなくなるし!
忙しい時はぁ…そりゃ、会社に籠る時もあると思うんだけど…
今よりは、一緒に居られると思うの」
嬉しそうなお母さんの顔。
私だって一緒に居られるんなら一緒に居たい。
けど…
すぐに、首を縦に振ることは出来なかった。

