全然髪の感触はなく、虚無感だけが残る。



身体が動けなくなったこと、


髪を切られたこと、


それは夢の中で起きたみたいに、私には現実味がない。



でも違うんだ…



左半分が切られたこの髪。


これこそが動かぬ証拠だから…





ガラッッーーー



「…美桜」



呼ばれてドアの方へと顔を向ける。


そこには口をあんぐり開けた花音が立っていて…



「花音」


「お、おお…」


「お?」


「美桜が起きてるーー!!


大和~~!目ぇ覚ましたってお医者さんに伝えてーー!!!」


「ちょっ…!ここ病院!」



あらん限りの声で大和へ叫ぶ花音。